2013年度 順天堂大学医学部[I](2)

3分程度で解けると良いと思います。

試験本番でこういう問題が出た時にまず考えるべきこと

こんな「連分数」なんてもの、教科書で習わなかったし、 今まで見たことも無ければ当然扱ったこともない、 という方が多いと思います。 でも、面食らうことはありません。 試験当日まで十分に対策してきたあなたが初めて見る類の問題なのですから、 恐らく、他の受験生も初めて見る問題なんです。 と言うことは、特に定石的な解法を知らなくても、 この問題文だけからヒントを汲み取って解くことが可能だということです。 そしてそのヒントは、直接的でわかりやすいものであるはずです。 なぜなら私立医学部の入試数学は、短時間で膨大な量を処理させるものだからです。 何重もの思考が必要なトリックが隠されているなんてことは、まずありません。

以上を踏まえて、改めて問題を見てみると、何と言っても特徴的なのが「・・・」の部分です。
「同じものが延々と繰り返されている」という状況を、どう定式化し直すかが鍵となってきます。

どう定式化するか、ですが、「・・・」などという曖昧でよくわからない対象は、 とりあえず文字式で置き換えて、形だけでも「・・・」という表記を消すことが肝要です。

たとえば「0.333…」はどんな数か?と言われたときに、 x=0.333…と置き換えてしまえば、10x=3.333…であるから 9x=3.333…−0.333…=3となって「・・・」が消え、x=1/3と求まります。 これと同じようにして、解いてみましょう。

模範解答

求まった答えを、逆に連分数に展開してみましょう

問題文中のyは、よくわからない連分数だったにもかかわらず、 実はy=-1+√2という、すっきりとした値であることがわかりました。 ということは逆に、-1+√2は、問題文のような連分数に展開できるということです。 実際、少しテクニカルな式変形になりますが、以下のように検算できます。

【発展】ガロアによる連分数展開

連分数展開については、19世紀に活躍したフランスの天才数学者である エヴァリスト・ガロアが、 自身初の論文で研究しています。 かなり発展的な内容になりますが、 今回の問題で導いたyについての方程式から、 yの連分数展開を導くガロアの手法をご紹介します。

連分数に関する参考文献

■私が以前書いていたブログで、連分数を何度か取り扱いました
 ・エヴァリスト・ガロア:上述の内容を、もう少し踏み込んで解説しています
 ・自己相似と黄金比:連分数に潜む諸性質をご紹介しています
 ・賭博覇王伝 零:漫画の中で出てきた問題を、連分数を使って解いています

■より詳しく学びたい方には、整数論の入門書をお勧めします
 ・初等整数論講義 第2版:連分数と有理数/無理数との美しい対応が書かれています


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東大数学科卒の家庭教師による、問題へのアプローチ
   
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